介護のニュース
2019/02/26

介護現場で多発するカスタマーハラスメント(カスハラ)の理由と対応策

顧客による常識を超えた悪質なクレームや迷惑行為、カスタマーハラスメント=カスハラ。流通・サービス業に携わる人が多数加盟する労働組合「UAゼンセン」が2018年に行った調査によると、カスハラがあると答えた人が断トツで多かったのが介護・医療・福祉業界です。ここでは特に、介護現場でカスハラが多いとされる理由と、その対処法について考えていきたいと思います。

顧客による常識を超えた悪質なクレームや迷惑行為、カスタマーハラスメント=カスハラ。流通・サービス業に携わる人が多数加盟する労働組合「UAゼンセン」が2018年に行った調査によると、カスハラがあると答えた人が断トツで多かったのが介護・医療・福祉業界です。ここでは特に、介護現場でカスハラが多いという理由と、対処法について考えていきたいと思います。

介護現場におけるカスハラの背景

それでは、なぜ介護の業界ではカスハラがあると答える職員が多いのでしょうか。

1,ハラスメントの線引きが不明瞭

介護の現場で「これはカスハラだ!」と認定するのは難しいものです。施設で暴言や暴力を振るう利用者がもともと暴力気質だったとは言い切れず、カスハラを受けても介護職員は利用者を気遣い、我慢してしまう傾向にあるためです。

本来介護施設は、体力の低下や認知症の悪化などで自己管理や家族による介助が難しくなった人が利用するもの。突発的な感情の高ぶりや環境変化によるストレスなどによって暴言・暴力行為に至る人が多いとされています。そうした利用者からの行為は根絶が難しく、職員が我慢せざるを得ないことが多々ありました。

この風土が根付く現場では「これはハラスメントだ」という線引きがしにくく、職員も「自分さえ我慢すれば」との考えに捉われやすいため、改善がなされにくいと考えられます。

2,家族も顧客に含まれる

介護施設では、利用者家族もサービス提供対象者として含める傾向にあります。そして、カスハラの線引きが難しいのは利用者家族も同じです。

家族自身が介護の難しさに悩んだ末、施設利用を選んだというケースも少なくありません。そのため「お金を払って預けているのだから要望をきいてほしい」「介護職は我慢するのも仕事」といった発想を招き、過度な暴言に至る場合もあります。

利用者だけでなく、こうした家族からの暴言なども加わるため、現場でハラスメントと捉えられてしまう絶対数が多くなるのは当然と考えられます。

3,現場と家族との間に立つ施設の難しい立場

よりよい介護サービスを提供したいと考える施設管理者の多くは、利用者家族との関係構築を重視します。事実、家族の意見をしっかり聞いた上でケアプランを考えなければ、よりよい施設運営はできません。

しかし、施設のサービス提供には上限がなく、「ケアプラン作成に家族の意見を反映させること」が求められています。これを「要求すれば何でもやる」と取られてしまい、家族によるハラスメントを助長させるケースもあるのが実情です。そしてこうした状況でも、家族との信頼関係を大事にする施設管理者は「家族と争う」という姿勢になかなか踏み切ることができないのです。

現場に立つ職員ができる対応策とは

こうした背景のもと、介護職員は現場でどのように動くべきなのでしょうか。

1,ハラスメントを未然に防ぐアプローチ

全ての暴言・暴力を根絶するのは困難ですが、未然に防ぐためのアプローチは有効です。たとえば「自尊心を傷つけないコミュニケーション」「介助前の声かけ」「家族への丁寧な説明による安心感」などです。これらの工夫が利用者や家族の不安とストレスを軽減させ、一定のハラスメント発生率の低下につながり、結果として職員の身を守ります。

重要なのはこうしたアプローチを周囲にも共有すること。職員同士で協力し合い、現場でのハラスメントを最小限に抑えられるようにしましょう。

2,事態に直面したらすぐ逃げる

 

カスハラ発生時は何より「すぐ逃げること」を優先してください。この時は利用者自身も混乱していたり、家族も感情的になっていたりするケースが多いからです。

問題をその場で解決しようとし、積極的に関わろうとする方もいるでしょう。しかしそれは利用者や家族のさらなる興奮・ストレスを招き、逆効果になることもありえます。何より利用者や職員が傷つく可能性があるため、まずは物理的にも心理的にも距離を取ることが大切です。

3,クレーム専門部署に対応を依頼

その後の理想的な対応策は「本部のクレーム専門部署に対応を依頼すること」です。専門部署は行き過ぎたハラスメント事例について、たとえば法的な対抗措置や退所要求の検討などを内容証明郵便で伝え、行為の中止を求めることできます。さらに市町村の介護保険課や弁護士、警察などとの連携も交え対応を進めます。

専門部署がなくとも、施設は事業所を管轄する行政に相談することができます。ですから職員はしかるべき立場の人間に相談し、改善に向け努力することが大切です。

個人で耐えたり戦ったりしないこと

SNSで悪質行為が拡散されるようになったことで、厚生労働省もカスハラを問題視し始めました。被害者の配置転換等の案を盛り込んだカスハラ対策の指針作りに乗り出したというニュースもあります。働く人を守るための制度整備は今後さらに広まるでしょう。超高齢社会に対する問題意識が高まる昨今、本部にクレーム専門部署を擁する介護施設も増えてきています。

顧客の暴言・暴力に対して我慢しすぎていては、職員のためにも業界の未来のためにもなりません。職務の範疇か理不尽な状況かを周囲と確認しながら、カスハラの基準と対応策を施設内で確立させていきましょう。職員ができる限りの対応を行った上で、どうしても改善が見られない場合、転職も視野に入れるべきです。現場にだけ我慢を強いる業界を当たり前にしていかないためも、勇気を持って行動していただきたいと思います。

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