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「介護福祉士で勤続10年なら月8万円がもらえる」
2019年から始まった介護士向けの新しい加算制度が介護職員等特定処遇改善加算(以下、特定処遇改善加算)です。しかし本制度の実施に関して、まだ実感のない人は多いと思います。
そこで本記事では、「介護福祉士8万円加算の最新情報」をまとめていきます。
読めば新加算制度の現状はもちろん、どんな条件を満たせば8万円がもらえるのかを理解できますよ。
【最新】介護福祉士8万円アップの条件を解説
多くのニュースで、「勤続10年以上の介護福祉士は給料が月8万円上がる」と取り上げられました。そんな特定処遇改善加算の最新条件は以下のとおり。
- 元々の処遇改善加算の要件を満たしている
- 職場環境の要件を満たしている
- 特定処遇改善加算にもとづく取り組みを見える化
具体的な内容について、詳しくみていきましょう。
①元々の処遇改善加算の要件を満たしている
特定処遇改善加算は、現行の処遇改善加算に上乗せされる制度です。
そのため元からあった処遇改善加算の条件を満たしていなければ、特定処遇改善加算を受けることはできません。
なお現行の処遇改善加算はⅠ~Ⅴまでの5段階区分があり、Ⅰの要件を満たすのがもっとも難しいです。ただしその分加算額も3万7千円と最高額に設定されています。
その5段階のうち「Ⅰ~Ⅲのいずれかを満たすこと」が特定処遇改善加算の条件です。自分の所属する施設が条件を満たしているか、確認してみましょう。
②職場環境の要件を満たしている
- 資質の向上…研修の受講支援や、専門的な知識・技術を習得するための自主的な取り組みをしているか
- 労働環境、処遇の改善…メンター制度、ITサービスの活用、育休、相談できる環境の整備などを通して、労働環境の改善努力をしているか
- その他…経営や人材育成制度の見える化、中途採用者の受け入れ、障がい者の雇用など、更なる労働環境改善への取り組みをしているか
上記3つの要件において、それぞれ1つ以上を満たすことが特定処遇改善加算を受けるには必須です。
③特定処遇改善加算にもとづく取り組みを見える化
処遇改善加算にもとづく取り組みの見える化というのは、「HPへの掲載」「SNSなど各メディアでの発信」をとおして、ここまで紹介してきた各取り組みを公表すること。
なおこの条件は2020年より最新の条件として組み込まれました。
取り組みが世に出ないと本来の目的である「介護人材の確保」にはつながらないため、追加されたものと考えられます。
【最新】特定処遇改善加算の配分方法について
特定処遇改善加算の条件を満たし、無事に加算されたとしても「勤続10年の介護福祉士8万円アップ」になるとは限りません。
なぜなら特定処遇改善加算には細かな配分方法があり、場合によっては勤続10年など関係なく、加算額が決まる可能性もあるからです。
一体どういうことなのか? 具体的な配分方法について、詳しく見ていきましょう。
特定処遇改善加算の配分ルール
特定処遇改善加算を受ける際、まずは事業所内で3つのグループを作ります。
- 【グループ1】経験、技能のある職員…勤続10年以上の介護福祉士を基準。職場が変わっている場合や、事業所独自の能力評価を満たす場合でも対象(10年でなくても満たすことがある)
- 【グループ2】その他の介護職員…介護福祉士を持っていない、勤続年数が10年に満たない職員など
- 【グループ3】その他の職種…管理者、理学療法士、作業療法士、看護師、調理師、栄養士、事務職員など
このうちグループ1にて、誰か1人以上は「賃金改善の見込みが+8万円/月、もしくは年収440万円以上」になるよう設定しなくてはなりません。
これが「勤続10年以上の介護福祉士は給料が月8万円上がる」といわれている理由ですね。
ただし見て頂いたとおり、もう1つの条件として年収440万円を超えれば良いという要件もあります。
そのため元から年収360万円あった人がプラス80万円(月給+6万7千円)になったとしても、「特定処遇改善加算を実施した」と扱われてしまうのです。
ゆえに勤続10年なら全員が月8万円になる…という単純な内容でないことを押さえておきましょう。
その他の細かな配分ルール
その他の配分ルールは以下のとおりです。
- グループ1全体の賃金改善見込みが、グループ2全体の見込み額の2倍以上
- グループ2全体の賃金改善見込みが、グループ3全体の見込み額の2倍以上
- グループ3全体の賃金改善見込みが、年額440万円を上回らない
簡単に言えば1つ下のグループよりも、給料アップの見込みが2倍になっていればよいということです。
なおグループ3のその他介護職関係者は、全体の平均賃金が440万円を超えていなければ基準をクリアできます。逆に元から440万円を超えている人は特定処遇改善加算の対象にはなりません。
【最新】介護福祉士プラス8万円賃上げの現状は?
厳密にいえば、勤続10年の介護福祉士全員が8万円をもらえるわけではない…ということがわかりました。
しかし特定処遇改善加算により、全体の賃金が上がるというのは間違いないような気がしますよね?
そこでここからは令和以降、実際に介護福祉士の給料が上がったのかをみていきましょう。
介護福祉士の給料は上昇傾向
厚生労働省の調査によると、介護職員の平均給与額は平成31年から令和2年にかけて、「300,120円→315,850円」と1.5万円ほど上がっています。
うち手当に関しては8,090円ほど増加しているとのデータもあり、少しずつではありますが給料アップが実施されているとわかりますね。
≪参照:令和2年度『令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)』≫
月8万円の賃金改善が行われた事業所は全体の10%
しかし実際に8万円の給料アップが行われた事業所は、(特定処遇改善加算を受けた事業所全体のうち)10.3%というデータがあります。
また年収440万円以上の給料アップを実施した事業所は全体の38.6%おり、月8万円に関しては実施している事業所が少ない…というのが現状です。
そのため現行の処遇改善加算が定着し、かつ少しずつ特定処遇改善加算も実施されてきているからこそ、全体での給与額が上がっていると考えられますね。
まとめ
「勤続10年働けば、8万円がもらえる!」という単純な制度ではなく、年収440万円を超える職員が1人いればよい…など、事業所任せの曖昧な設定に留まっているのが実態です。
それでも実際のデータとして介護士の賃金は上昇傾向にあるため、特定処遇改善加算について悲観する必要はありません。
今後も政府による最新情報を得て、手当などで損しないようにしましょう。
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