レスパイトケアという考え方をご存知でしょうか？これは介護分野だけでなく医療の分野などさまざまな場面で用いられている考え方です。介護分野でレスパイトケアを行うことによって介護職者にはどのような影響があるのか。ここでは、介護職なら知っておきたいレスパイトケアについてまとめました。

レスパイトケアについて

まずは、レスパイトケアというのがどういったものなのかを知っておきましょう。

レスパイトケアとは？

レスパイトケアとは、在宅介護をしている家族などが一時的に介護から解放され、休息をとれるように支援する福祉サービスのことを言います。
1976年に短期入所サービスの一環としてスタートした制度ですが、介護保険制度において短期入所生活介護・短期入所療養介護として位置づけられたことで現在では全国的に広がりつつあります。
レスパイトとは英語で「小休止」「息抜き」「休息」といった意味合いを持ちます。

レスパイトケアはどこで受けられるの？

レスパイトケアは介護保険サービスにおけるデイサービス（通所介護）、ショートステイ（短期入所生活介護、短期入所療養介護）で受けることができます。
レスパイトケアは、どちらかといえば介護者に対して直接行うケアというよりも介護者家族へ行うケアです。介護者に休息をとってもらうことで介護疲れや共倒れを防ぐことができ、結果として在宅介護を継続して行うということを目的としています。

レスパイトケアを利用する介護者の状況を見てみると、冠婚葬祭利用の場合には 3 日以下の短期利用が多く、認知症利用者の場合には 7 日以内が多くなっています。上記のように冠婚葬祭の際に利用するだけでなくリフレッシュのための旅行のためにレスパイトケアを活用することもあります。

レスパイトケアを行うことによる介護職への影響は？

レスパイトケアを行うことによって介護職にはどのような影響があるのでしょうか？

レスパイトケアを行うことのメリットは？

レスパイトケアを行うことによって介護職が受けるメリットは家族（介護者）との信頼関係の確立です。介護者の介護に対する悩みやストレスについて話を聞くことは、介護者自身のストレス解消にもつながります。また、レスパイトケア中の家族の意向を聞き、それに沿った介護の展開をし、要介護者にとってプラスとなるレスパイトケアとなることで家族からの信頼を得ることにつながりその後の関係性がスムーズにいくこともあります。

特にレスパイトケア中は家族が普段行っている介護と同等レベルの介護を求められます。この求められている介護をレスパイトケア中も展開できるということは家族から信頼できる介護職として一目置かれる可能性が高まります。

また、レスパイトケアを行い家族の介護疲れを解消することは、前述したように在宅介護の継続へとつながります。在宅介護を継続することで介護施設への長期入所の可能性が減ります。少しでも長く在宅生活を送れるように家族を支援するという経験は、介護職としてプラスの経験になるものと考えられ、家族介護という観点からその後のキャリアにも大きく影響することが考えられます。

レスパイトケアを行ったことによってこんなことが変わった！

レスパイトケアを行うことで介護職として仕事の見方ががらりと変わることがあります。
例えば、レスパイトケアをすることで利用者が家でどんな生活をしているかが見えてきます。施設で働いていると施設の勝手や自身の介護のやりやすさが先行し、家での生活を意識しつつも家での生活にそぐう介護が行えないこともあります。しかし、レスパイトケアをして家での生活が見えることで居宅介護について考えることができます。

実際にレスパイトケアをしたことで居宅ケアマネの道を視野に入れた介護職者もいます。このようにレスパイトケアを行うことによって介護職の仕事観にも変化が出てくるのです。

まとめ

普段介護職として働いていると介護の対象は要介護者へと向きがちですが、レスパイトケアにかかわることによって介護者をもケアの対象としてみることができ、家族介護についても学ぶことができます。

レスパイトケアをただ家族への休息ととらえずに、自身の介護に対する見方を変化させられるきっかけとしてとらえられるとよいのではないでしょうか。