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- 介護職の正社員について【将来性を詳しく考察】
2025年は団塊世代が後期高齢者となり、要介護高齢者も増加するとみられます。そのための介護人材確保は急務です。いっぽうで、介護の仕事は一般の仕事と比較して「賃金が安い」「離職率が高い」と言われることもあります。
しかし介護の仕事は今後の社会でなくてはならない仕事です。本コラムではそんな介護職の将来性について、詳しくみていきましょう。
介護職の特徴について
介護を含めた福祉業界は制度ビジネスです。
また対人サービスを提供する業務形態は、ものを作ったり売ったりする一般的な業務とは違い、特殊な業態といえるでしょう。
このように前提条件が違う介護職の賃金や離職率と、その他業界の賃金や離職率を単純に比較してしまうと、介護の仕事を過小評価してしまう恐れがあります。
介護施設の人員基準
介護の施設、事業所は制度によって、事業ごとに細かな人員基準が決められています。また看護師や社会福祉士など、資格保持者を配置しなければならない事業もあります。
これにより介護施設等では常に人手不足の状況で、常に求人を出しているケースが見受けられます。
介護従事者の男女比
福祉・介護業界の男女比はおよそ2:8です。対して一般産業の男女比はおよそ8:2となっています。この数字からも、介護業界が特殊であることがわかります。
また女性職員の場合、結婚・出産・育児を理由にやむをえず離職するケースがあります。
そのため「介護の仕事に魅力がない」「介護の仕事がつらい」といった理由で離職率が高くなっているとは言い切れず、他にもさまざまな要因があるのです。
統計上の数字だけをみて、「介護の仕事では、正社員で働き続けても賃金が安くなる確率が高い」と考えることのないよう注意しましょう。
会社に対する帰属意識
一般的な産業や職種では、会社や組織に対する帰属意識が強くなっています。
そのため一度就職した会社で、定年まで勤め続ける割合は高いです。転職する場合は職種自体を変えるケースが多くなっています。
それに対し、介護を含めた福祉業界にはたくさんの専門職種・資格があります。
そのためこの業界で働く人は、介護職や保有する資格に対して、高い意識を持っている傾向があります。
いっぽう「会社や組織に対しての帰属意識は薄い」という特徴も見受けられます。転職する際は、「介護業界のなかで職場を転々と変える」という人も多いですね。
また転職する場合、人手不足の介護業界では、他業種に比べて容易に転職ができます。これが介護業界の離職率が高い要因にもつながっているのです。
介護職員の離職の実態
公益財団法人介護労働安定センターが2019年度に公表した調査結果によると、「全産業従事者の離職率が14.6%」であるのに対し、「介護職の離職率は15.4%」とその差はわずか0.8%です。
いっぽう事業所単位の離職率を見ると、「離職率が10%未満の事業所は44.5%」に対し、「離職率が30%以上の事業所は19%」となっています。
すなわち離職率の低い事業所に正社員として就職すれば、長く勤続できる可能性が高いということです。
転職を避けるコツ
定着率が高い事業所は、求人広告にはっきりと「離職率何%」や「職員が辞めない」と明記されています。
職員の定着率に自信がある事業所は、運営理念よりも具体的な数字・離職状況を公表している傾向が高いです。そこに着目すると、何度も転職するリスクを避けられるでしょう。
介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算について
今後ますます介護人口が増えていくにもかかわらず、ハードな業務内容に対して介護職員の給与が不十分であることが問題視されていました。
こうした流れを受けて、厚生労働省は次のような制度を作っています。
- 介護職員処遇改善加算
- 介護職員等特定処遇改善加算
それぞれ詳しく解説していきますね。
介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算とは、介護職員の賃金向上を目的に、介護報酬に加算して支給を行う制度です。
処遇改善加算を取得するには、事業所が「介護職員処遇改善計画書」を作成し、自治体(都道府県知事または市町村長)に届け出る必要があります。
そして加算を取得した事業所は、自治体に「介護職員処遇改善実績報告書」を提出する必要があります。
介護職員等特定処遇改善加算
2019年10月からは「技能・経験のある介護職員の処遇改善」を目的とし、介護報酬をさらに加算して支給する介護職員等特定処遇改善加算が開始されました。
「勤続年数 10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行う」という方針に基づき、制度設計が行われています。
特定処遇改善加算の取得事業所の平均給与
厚生労働省は昨年10月、最新の介護職員処遇動向に関する調査を踏まえ、「特定処遇改善加算の取得事業所の平均給与」を公表しました。
【介護職員】 【勤続10年以上の介護福祉士】 |
今後も介護職正社員の待遇については、政府の施策・対策が講じられていくでしょう。
介護職のキャリアパス
キャリアパスとは、「ある職位や職務に就任するために必要な業務経験とその順序」のことです。
介護職には、次のようなキャリアパスがあります。
介護職員初任者研修→介護職員実務者研修→介護福祉士→認定介護士
正社員として採用されたあとは、上記のキャリアパスを参考にスキルアップを目指してください。
資格手当や職場のリーダーとしての役職手当など、将来の給与アップや仕事のやりがいアップにつながります。
ここからは、キャリアパスを理解するうえで重要な「介護資格」について解説していきます。
介護職員初任者研修
まず介護職員初任者研修は、介護の仕事を行う上で必要最低限の知識・技術を身につけられる資格です。
基本的な介護業務を行えるようになるため、専門の講師が研修を行います。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修とは、介護について一般的な知識と技術を身につけるための研修です。
ただし初任者研修と異なり、「医療的ケア」を学習したり、介護福祉士試験の受験資格になったりと、幅広いメリットがあります。
介護福祉士
介護についての法律で定められた国家資格です。
介護の専門知識と技術を用いて、高齢者などに身体介護や家事の介助を行います。
また現場でリーダシップを取ったり、介護に関する相談に応じたりすることも多いです。
認定介護福祉士
介護福祉士の上位資格にあたります。
民間資格ですが受講することにより、介護福祉士よりも高度な知識やスキルの習得が可能です。
また他の介護職員へ指導するスキルと、実践力を磨くこともできます。
まとめ
「介護職で正社員になっても将来性が無い」と考えている方は多いとおもいます。
しかし介護職は、少子高齢化の影響でますます必要性が増していく職種です。
将来のビジョンを持って日々の業務に臨み、介護の正社員としてキャリアアップをめざしましょう。
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